日本の夏 ゴキブリの夏

 僕はゴキブリが大嫌い! 理由もなく大嫌い! 突然現れ人間を恐れず、いざとなるとこっちに向かって飛んでくる奴らが大嫌い! いや、嫌いというより怖い…。こんな文章を書いているだけで背筋が凍りつくほど嫌い!
 昔は夏になると何度もあの恐怖を体験していたものだが、引っ越して一人暮らしを始めてからは滅多にお目にかからなくなった。平均すると2年に1度くらいの割合だろうか。だが、2年に1度だろうが20年に1度だろうが怖いものは怖いのだ。だから僕はゴキブリ対策はいつも万全である。常に「ほう酸団子」を部屋の各所に置き「ゴキブリほいほい」をしかけ、それでも出てきた場合には死ぬ覚悟で対決するための武器を用意している。2年ほど前まではスプレー式の「いわゆる殺虫剤」で戦っていたのだが、いかんせんそれでは至近距離での攻撃を余儀なくされる。運良くそれで奴らを撃退できたとしても、奴らの亡骸(なきがら)をティッシュなどに包んでゴミ箱に捨てなければならない。そ、そんな、そんな…うわーっ!書いてるだけでその時の手の感触が蘇ってきた。嫌だ! 嫌すぎるっ!

middle_1091586693.jpg

 ところが遂に夢の武器が登場した。離れた場所から泡を吹きつけ固めてしまえるリーサル・ウェポン!「よっ!待ってました!大統領!」(なんだかこういう時の表現が年々オヤジくさくなってきている)この武器は離れた場所から奴ら目がけて発射できるのだ。だが逃げ腰で遠くから攻撃するとアッという間に部屋中が泡だらけになる。もちろん近くからの方が命中率が高くなる事など最初からわかっている。しかし、そんな勇気は僕の体のどこを探してもないっ! 最終的にはゴルフボールの1.5倍ほどの大きさの泡で閉じこめ、奴らの姿を見ることなく捨てることができる。これを発明した人はノーベル賞ものだ。『ノーベル・ゴキブリ賞』の栄冠を差し上げてもいいくらいだ。
 だが、僕は同時に「彼らがこれほどまでに嫌われ怖がられなければならない理由」についての明確な答えを持たないまま、彼らを嫌っている自分に対して嫌悪感を持っている。

コメント