草むらのエロス

少年の頃、友人と山や河原に自転車で乗り付け、草むらに分け入って秘密基地を作ったりして遊んでいると、封も切られていないカルビー「仮面ライダースナック」が捨てられている事がよくあった。人目をはばかるように草むらの奥深くに捨てられている事が多かったが、ご丁寧に土に埋められていた事もあった。

当時の少年たちはライダーカード欲しさにライダースナックを買った。記憶が定かでないが1袋20円か30円ぐらいだっただろうか。ラッキーカードが出るとカードホルダーがもらえる。僕はハマらなかったが、ライダーカードに夢中の少年たちは、自慢のカードコレクションでパンパンに膨れあがったホルダーを学校に持って行って見せっこしたり交換し合ったりしていた。お菓子が大好きな子供でさえ食べ切れずに捨てるぐらいだから、彼らはたぶん相当量のスナックを買っていたんだろう。全国的にそんな現象が起きたもんだから、当然当時は社会問題になっていた。

山や河原の草むらで発見‥‥と言えば、もう1つの定番アイテムがエロ本であった。誰が何故そんな場所に捨てるのかわからないが、とにかくアッチの山にもコッチの河原にもよく散乱していた。生活臭ムンムンのパッとしない昭和のオバちゃんがセーラー服姿で写っているようなそんな雑誌が、夜露に濡れて独特の匂いを放つそのネイチャー&エロスな光景は、田舎の少年の原風景の1つとなっていて、今でも鼻腔の奥にその湿っぽい匂いが鮮明に残っている。と、ここまでは昔話。ここからは今日の草むら話。

今朝、草むらとも言えないほどカジュアルな場所に佇む謎のビニール袋を発見した。一気に子供の頃の記憶が蘇る。あの頃と違うのは袋に入っている事とその中身。どうやら DVD らしい。パッケージに入ったセル DVD が3本。気になる気になる。エロか? あれはエロなのか? 気になるけれど中を確認するのは躊躇われる。嗚呼、悲しいかな自分は随分大人になってしまった。

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