ON THE MOVE/深町 純(1978年)

 僕がこの人を知ったのは、PRISMのギタリスト和田アキラらと結成されたKEEPというバンドのキーボーディストとしてだった。1980年代の頭の頃だっただろうか「やけにクリアーで鋭利なピアノを弾く人だなあ」というのがその時の印象だった。

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 そのKEEP結成以前、1978年にNYで録音されたのが、この「ON THE MOVE」というアルバムだ。深町以外はすべてアメリカ人。ドラムはスティーヴ・ガッドだし、ベースはウィル・リーとアンソニー・ジャクソン。ホーンはマイケルとランディーのブレッカー兄弟にデイヴィッド・サンボーンなど、当時NYで頭角を現し始めていたミュージシャンたちが勢揃いだ。

 このアルバムを聴くのは初めて‥‥のはずだったが、聞き覚えのある曲がチラホラ。「へえぇ、これもあれも深町だったんだぁ」このアルバムではKEEPでのやたら尖った緊張感はなく、かと言ってイージーリスニングでもなく、スリルとロマンがとても良い塩梅でブレンドされた「フュージョン」が完成している。演奏もメロディーもアレンジもサウンドもいい♪ あたしゃたいそう気に入ったぞ! ただいまエンドレスで絶賛再生中。

 それにしてもあの頃のミュージシャンたちってスゲェよ。だってみんな若造だよ。今にして思えばとてつもなく早熟な連中に思える。しかしよく考えると、きっと彼らなりに目一杯背伸びをしてたんだろうし、無茶で未熟で自信過剰で世間知らずな頃にしか出せない突破力みたいなもんをぶつけ合う場を得て、互いに触発し合って大きな火の玉をドッカンドッカン産み落としてた時代だったのかもね。もちろん才能や努力がなければ実現しなかっただろうけど。



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