椿三十郎(2007年/日本)

 よくぞ最後まで観た。自分を褒めます。何度DVDプレイヤーのストップボタンを押そうと思ったことか。本当はあまり辛口な事を書きたくないんだけど、この作品だけはやっぱり書けば辛口にならざるを得ないので、いっそ書くのを辞めようか‥‥とも思いました。

30ro.jpg

 僕は黒澤の「椿三十郎」の大ファンであります。「あなたの1番好きな映画は?」と聞かれたら、この作品か「2001年宇宙の旅」かで悩んで悶絶しそうなほど椿が好きなのです。この20数年でおそらく30回ぐらいは繰り返し観てるはずです。観た回数で言えば「2001年」よりずっと多いです。そして何度観ても面白いのです。その椿がリメイクされると聞いた時、既にこういう結果は予想ができたのですが、僕の想像以上に・・・な結果と相成りました。

 なぜリメイクしなければならなかったのか。しかも、脚本はほぼオリジナルのまま。それではあまりに役者がかわいそうです。織田裕二は三船と比べられ、豊川悦司は仲代と比べられるに決まってます。そしてどう見たって勝ち目はないのです。これはあまりに酷です。オリジナルに近ければモノマネと言われ、キャラを変えれば厚みを損ないます。それまでに黒澤の椿は完璧な作品なのです。

 僕が、何度もストップしようとして踏みとどまったのは「あのラストシーンを確認しないわけにいかなかったから」に他なりません。オリジナルのあの衝撃的な殺陣を森田芳光はどう描くつもりなのか‥‥。

 なるほど。そう来ましたか。そうせざるを得なかったのもうなずけます。さすがにアレは再現できないでしょう。でも、ソレもコレもすべてを引っくるめて「やれないとわかってて敢えてやる理由がどこにある?」と問いたい気分なのです。



コメント