メタン タイタン オドロイタン

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 2週間前に土星の衛星「タイタン」に着陸したヨーロッパの探査機「ホイヘンス」。そのホイヘンスから送られて来たデータをもとにタイタンの実体が明らかになって来た。タイタンは太陽系の中では最も地球に似た星らしい。

 それにしても地球を飛び出してから6年以上もかけて土星に到達し、未知の星に無事着陸し、そこで見聞きしたことを我々に伝えてくれるホイヘンスのケナゲさと勇気には拍手を送りたくなる。暗く冷たく音のない世界を6年間黙々と旅し、命を懸けて着陸。そしてわずか数十時間活動し、その任務をまっとうしたんだよ。偉いなあ。ホイヘンスの爪の垢だったら飲んでもいいなあ。

 今回初めて探査機が大気圏に突入してから着陸までの間の「音」を地球に送ってきた。今まではせいぜい写真や地質データを送ってくる程度だったが、そこに「音」が加わることで“想像のパノラマ”が一気にドバっと展開してしまう。タイタンには多量の窒素とメタンがあるらしい。まだ生命の存在を証明するようなデータは発見されていないが、仮に今は生命がいなくとも、この先窒素とメタンから有機物が合成され、何万年か何億年か先には生命が誕生する可能性がある。つまりタイタンはまさに「昔の地球」に似ているという事らしい。

 宇宙には未来的なイメージがつきものだけど、夜空に輝く星たちの光りはすべて「過去」に放たれたものだ。より遠くの星を見れば見るほど、より昔が見えてくるという事実を目(ま)の当たりにすると、思わず想像力にターボがかかってしまう。

ただいま回転中のDAT
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UK BLAK / Caron Wheeler

コメント欄に「SOUL II SOUL」の話題が出たので「SOUL II SOUL」でヴォーカルやっていたキャロン・ウィーラーのソロ・アルバムを聴いてみた。「SOUL II SOUL」とよく似たグラウンド・ビートの曲も多いが、レゲエなんかも入ってたりする。彼女はアルバム・タイトルが示す通り“イギリスの黒人”なんだけど、アメリカの黒人よりクールでスタイリッシュでインテリジェンスを感じる。裏を返せば感情的でも肉感的でも動物的でもない。アメリカ産のリズムが「腰直撃タイプ」だとすると、イギリス産のリズムは「いったん脳を経由して腰を動かすタイプ」という違いがあるような気がする。


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