奴らが来るっ!!!!!

 僕は新聞をとっていない。だからテレビの番組表見たさでいつも「ぴあ」を買っている。巻末に2週間分の番組表が載っているからだ。しかし僕はこのところテレビをほとんど見ないので「ぴあ」の発売日から三日ほどたった今日「どうしよっかなあ…今回は買うのやめとくかな…」と思いつつ、立ち読みしてみて買いたくなったら買おうと心に決め本屋に向かった。そして立ち読みを始めて4.8秒後にはレジの前に立っていた。

「なにーっ? アースが来るやんかーっ!」
 血圧と脈拍が2割ほど上昇した。名古屋レインボーホールで9月! 電話予約は…ふむふむ今度の土曜か…などと心の中でつぶやいた。いや、もしかしたら声に出してしゃべっていたかもしれない。とにかく脳内で「ワクワク物質」が急激に分泌していた。

middle_1091584799.jpg

 Earth Wind & Fireというバンドは僕がもっとも影響を受けたミュージシャンだ。リーダーのモーリス・ホワイトはここ十年ほど「パーキンソン病」という病気と闘い続け、最近はかなり回復したと噂には聞いていたが、まさかツアーのステージに立てるまでに回復するとは正直思っていなかった。
 僕は彼が発病間もない頃のアースのコンサートを観た時の切なさ悲しさが忘れられない。エンディング近くにメンバーに抱えられるように登場し、蚊の鳴くような声で二曲ほど歌った後、舞台の袖へと帰っていき、アンコールにも姿を見せることがなかった。均整のとれた筋肉質の体と、パワフルでいて清潔感のある声。あの雄姿とあの歌声を体験することなく、僕のアースは幕を下ろしてしまった。その後、モーリス抜きでのコンサートにも行ったのだが、演奏している曲は確かにアースだが、まるでコピー・バンドのコンサートを観ているような気がしてならなかった。
 どうやら今回のツアーでモーリスはライブ活動から引退するつもりのようだ。それはいたしかたのないところで、大ファンの僕でももう彼に「頑張れ!」と言うつもりはない。蚊の鳴くような声でもいいのだ。ステージ上のモーリスを見る最後のチャンスを与えられた事に幸せを感じる。

コメント