太陽の蓋(2016年/日本)

実は YouTube にアップされている3本のスピンオフ短編作品は、映画が公開された当時に観てたんですが、本編はずっと見逃したままで「いつか観なきゃ」と思いつつも、なかなか機会がなく、今回 Amazon Prime Video で公開されていると知り早速。

「あのとき日本の政治の中枢で何が起きていたのか」を知ると、頼り無さ過ぎて怖ろしさ倍増です。で、けっきょく「何だかよくわかんないけど、とにかくラッキーだったね」という「単なる偶然」の上に現在の日本は存在していて、とりあえず一時的に「蓋をすることができた」っぽく見せかけてはいるけれど‥‥

と、ここまで書いておいてアレですが、今はこの映画の内容についてアレコレ書くより、とにかく「もう1度観なきゃ」と思っています。

【追記】というわけで2度目観ました。いやこれ実に良くできた映画だと改めて思いました。なにしろ題材が題材ですし、ほぼ実話と言っていい内容だと思われるので、手放しで「面白かった」とは言いにくいんですが、まるでドキュメンタリーのようなリアル感と、エンターテインメントのバランスが絶妙です。最初はちょっと違和感がありましたが、最後には三田村邦彦が菅直人に見えてくるから不思議です。あの地震、津波、そして原発事故が起こった当時「もし首相が菅さんじゃなかったら、もし民主党ではなく自民党が政権を握っていたら、もっと頼りになるんじゃなかろうか」と僕は感じていましたが、この映画を観たら「いや、そうとも限らないかもよ」と思えてきました。たしかに当時の民主党は与党としての経験も浅く、どことなくアマチュア感が漂っていましたが、じゃあ自民党なら頼りになったのかと言うと、自民党は自民党でおそらく原発の利権に絡んだ裏の歴史が長らくあったはずで、そうなるとアッチの顔を立てたりコッチのご機嫌を伺ったり、我が身に火の粉がかからないよう画策したりで身動きが取れなくなっていた可能性もあったのでは? と、別の意味で怖ろしくなったりするわけです。そしてこの作品の中で最も絶望的だったのは、大学時代に応用物理学を学んでいた首相が、原子力安全・保安院院長に「いま現場で何が起きているんですか?」と問い詰めると「わかりません(沈黙)私は東大の経済出身ですから」と逆ギレ気味に言い訳をするシーンでした。

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