何十年も前に閉鎖された病院らしき建物の中は薄暗く 薬品とカビの匂いが混ざったような 湿った重い空気が充満していた。僕がそこにいる理由はわからない。診察室らしき部屋に入ると男が1人 虚ろな目で現代舞踏のような動きをしていた。彼には僕の姿が見えていないようだ。そして隣の部屋にも男が立っていた。さっきの男同様ゾンビのような風体だが メドゥーサに睨まれて石にされてしまったかのように 恐怖の表情のまま固まっていた。しかし よーく観察してみると 彼の全身は微かに振動していた。まるで古いビデオテープを一時停止させた時のように。そして次の部屋にも1人 その次の部屋にも1人 生きているのか死んでいるのかわからない男たちが それぞれに個性的な動きを披露してくれた。そして院長室らしき部屋に辿り着いた。ドアを開けると 完全にミイラ化した白衣の男が椅子に座っていた。そしてその横の応接ソファーには青年が2人。彼らは肩を寄せ合って毛布にくるまり「仕送りが少なかったんだ 仕方なかったんだ」と震えながら泣いていた。
ふと気づくと ガランとした校庭の真ん中に立っていた。斜め前には30代半ばの女性が1人。彼女は太極拳のような動きをし 僕の横に並ぶ数組の男女が彼女の動きを真似ていた。とつぜん女が何か叫んだ。すると僕の横にいた男女が猛スピードで後ずさりを始めた。まるで後ろ向きに走るバイクに乗ったタンデムのカップルのように。そして彼らは校庭の端のフェンスを突き破って消え去った。満足そうな顔でそれを見送った女は「さぁ 次はお前だ」と言わんばかりに僕を指さした。「えっ! 僕ですか?」とオドオドしていると 突然目の前にヘヤチラ氏が現われ「じゃあヒゲさん いっちょブチ噛ましてやりましょうか」と頼もしい笑みを浮かべながら両手で僕の肩を掴み グイッと押してきた。何が何だかわからないまま後ずさりする僕。さっきのタンデム走りの向かい合わせヴァージョンだ。徐々にスピードを上げながら 練習中のバスケ部員たちの中に突っ込む我々。そこで僕は咄嗟にあるアイディアを思い付き それを実行した。ヘヤチラ氏を巴投げしたのだ。もしこれがキレイに決まれば あの太極拳女も大満足だろう。しかし 右足を天高く上げ 仰向けになった僕が振り向きざま目にしたのは 投げられたはずのヘヤチラ氏が 何事もなかったようにフェンスの穴から走り出て行く姿であった。
という2本立ての夢を見た。
ふと気づくと ガランとした校庭の真ん中に立っていた。斜め前には30代半ばの女性が1人。彼女は太極拳のような動きをし 僕の横に並ぶ数組の男女が彼女の動きを真似ていた。とつぜん女が何か叫んだ。すると僕の横にいた男女が猛スピードで後ずさりを始めた。まるで後ろ向きに走るバイクに乗ったタンデムのカップルのように。そして彼らは校庭の端のフェンスを突き破って消え去った。満足そうな顔でそれを見送った女は「さぁ 次はお前だ」と言わんばかりに僕を指さした。「えっ! 僕ですか?」とオドオドしていると 突然目の前にヘヤチラ氏が現われ「じゃあヒゲさん いっちょブチ噛ましてやりましょうか」と頼もしい笑みを浮かべながら両手で僕の肩を掴み グイッと押してきた。何が何だかわからないまま後ずさりする僕。さっきのタンデム走りの向かい合わせヴァージョンだ。徐々にスピードを上げながら 練習中のバスケ部員たちの中に突っ込む我々。そこで僕は咄嗟にあるアイディアを思い付き それを実行した。ヘヤチラ氏を巴投げしたのだ。もしこれがキレイに決まれば あの太極拳女も大満足だろう。しかし 右足を天高く上げ 仰向けになった僕が振り向きざま目にしたのは 投げられたはずのヘヤチラ氏が 何事もなかったようにフェンスの穴から走り出て行く姿であった。
という2本立ての夢を見た。
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