重力ピエロ（2009年／日本）

　彼の小説を1つも読んだ事のない僕が言うのも何だが　まさに伊坂幸太郎らしい話だった。何だかんだ言いつつ僕は伊坂幸太郎原作の映画を結構たくさん観ている。たまにはハズレもあるが　やはり原作が良くできているからなのか　おおむね面白い。

　他の作品に比べると「いくつものエピソードが順不同に行ったり来たり」という伊坂さんお得意のパズル的要素が薄いように感じられたが　最後にはしっかり「おっ！」というドンデン返しが用意されていて　得も言われぬ不条理感と　清濁あわせのむ事で決着せざるを得ない人々の姿と　ハッピーかアンハッピーかで分ける事のできない結末　そしていつまでも残るやりきれない後味‥‥という　僕が期待していたものがすべて入っていた作品　ではあった。