偶然の出会い

　100回以上通ってる道なのに‥‥直進しなきゃならんのに‥‥何を思ったか左折専用レーンに入ってた。仕方なく左折。さて、どこかで右折して元の道に戻らなきゃ。あ、あの信号で曲がろう。赤信号で止まっていると、僕を手招きする何かを全身に感じた。そちらに目をやると‥‥

　何の変哲もない、というより、さりげなさ過ぎるほどの佇まい。これはもしかしたらもしかするかも‥‥心が少し躍った。

　メニューからはその店のいろんな情報を読み取る事ができる。やる気の有無。迷いの有無。人気の有無。流行りの「激辛らーめん」に手を出したり「加利飯（中華風カレー）」などといった創作系ラインナップから「この店はやや崖っぷちかも‥‥」と危惧。しかし、若者以外のお客さんがボチボチ入ってるし、まだ取り返しのつかない所にまでは至っていないようだ。で、らーめん＋唐揚げ＋ライスのセットを注文。

　あっさり味のラーメンとカラッと揚がった唐揚げは、とりたててどうと言う事のない普通の仕上がり。が、これは決してマイナス評価ではない。僕にとってはこれこそが大切なのだ。何度も食べたくなる味。何度食べても飽きない味。地元密着型の飲食店に求められるのは、流行りの味でも、変わり種メニューでもなく、地味で堅実な充実感だから。

　うっかり左折専用レーンに入っちゃうのもマンザラ悪いこっちゃないね。