爺ちゃんブラリ

　スーパーマーケットに向かう下り坂、僕の横を１台の自転車がつつーっと降りてった。作業服風ファッションに身を包んだ、70代半ばの爺ちゃんだった。しかし、よく見ると爺ちゃん、両手ブラリじゃないか！ 幾分ヨロヨロしながらも、決してハンドルに手をかけない。「どこまで行けるかな」彼の背中にそう書いてあった。

　残念、赤信号。仕方なく止まる爺ちゃん。「くっそー赤かよ」全身がそう叫んでる。彼は信号が変わるのを待たず発車。どんどんスピードを上げる。ついに見えなくなったが、その先に続く下り坂。彼はふたたび両手ブラリ旅を楽しんだに違いない。

　人は歳をとるごとにどんどんラジカルになる。勿論ならない人も多いだろうが、少なくとも僕はそうなる自信があるし、周りを見回しても意外とラジカル族は多い。今日見た爺ちゃんがどんな気分でブラリしてたのかわからないが‥‥ちょっと憧れるぜ♪ 爺ちゃん。