レニ

 以前、市川崑監督の「東京オリンピック」のレヴューを書いた時に、コメント欄でレニ・リーフェンシュタール監督がベルリンオリンピックを撮ったドキュメント映画「オリンピア 民族の祭典・美の祭典」の話題が出ました(過去日記参照)で、早速TSUTAYA DISCASで探してみたんだけど「オリンピア‥‥」は見つからず、仕方なく、と言っては何だけど、レニ監督を追ったドキュメンタリー作品「レニ」を借りてみる事にしました。

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 いやぁ、非常に興味深い内容だったよ。3時間という長さにはいささか疲れたけど、彼女が(あ、レニ監督は女性です)辿った数奇な人生をふり返る内容だから3時間でも足りないかもしんない。このドキュメント作品が作られた1993年時点でレニさん91歳。すっごくお元気で、さすが元女優だけあっておキレイな方です。この作品は、彼女へのインタビューを軸に展開します。

 彼女の才能はドイツの最も忌まわしき時代に開花しました。「オリンピア‥‥」を含め、当時彼女が携わった映画はヒトラー率いるナチスのプロパガンダ的要素が強く‥‥っていうかハッキリ言ってプロパガンダに使われた事は明らかなんですが、インタビューで彼女は「政治には興味がなく、ただひたすら己の芸術を求めただけだ」というような発言を繰り返します。本人がどんなつもりであったにせよ、世間の風当たりは当然厳しく、その後彼女は目茶苦茶重い十字架を背負って生きる事になります。

 しかし、彼女の人生はその後がおもしろいのです。60歳でアフリカのヌバ族と交流。40も年下の男性と結婚。71歳でスキューバ・ダイビングのライセンスをとり、水中撮影の作品を撮り始めます。2000年、98歳で再びアフリカ、ヌバ族のもとへ(アフリカへの想い)。彼女はどうやら2003年に亡くなったようですが、その前年には「ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海」という作品を完成させています。




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