未来世紀ブラジル

 テリー・ギリアムの「Brazil」を観た。十数年前に1度だけ観た事があるはずだが、日本の戦国時代の鎧を身に付けた巨人の姿だけがかろうじて記憶の片隅に引っ掛かってて、ストーリーはまったく覚えていなかった。

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 それもそのはず、これはストーリーを楽しむタイプの映画ではなく、世界観を味わう映画だった。もう濃密な世界観の塊。そしてその世界観を構築する1つ1つのパーツ(ディテール)に対する執拗なまでのコダワリというか、執念と言うか、取り憑かれ方というか、それが半端じゃないのだ。

「未来なのにレトロ」という点では、リドリー・スコットの「ブレード・ランナー」に通ずるものもあるが、ブレード・ランナーほど甘美なSF感はなく、シニカルでコミカルで病的なファンタジー感が全体を包み込んでいる。

 そして「CG」ではなく「特殊撮影」だからこその高揚感と言えばいいのかな? そんなものを久しぶりに味わったのですよ。つまりここに記録されている映像はすべて、空気を通ってきた光をレンズで拾ってフィルムに焼き付けたもの。そのリアリティーはやっぱり圧倒的なんですな。打ち込みのサンプリング・ギターの音と、マイクで拾ったギター音の違いみたいなものでしょうか。コンピューターではシミュレート不可能な倍音をたっぷり含んでるんです。密度が違うんです。リッチなんです。

 最後に、出演シーンは少ないけど、ロバート・デ・ニーロ、いい味出してます。

未来世紀ブラジル




コメント

  1. この作品、ずーっと気になっていたものの、まだ観ていないのです。
    Youtubeで断片的場面を確認しました。
    ブラウン管のテレビ、もうしばらく手放さなくてもいいなぁって、何だか思えましたよ。
    ��゙ァ

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  2. ワイフと付き合ってるときに見に行きました。((と思います)
    当時の二人の頭の中では???の連続であったような気がします。
    また見てみるのもいいかもしれませんね。

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  3. 【SUKIYAKIさんへ】
    はい、少なくともこの作品は液晶画面で観るよりブラウン管で観た方がシックリ来ると思いますよ。なんとなくね(笑)
    【とど吉さんへ】
    この映画はデート向きではないですからねぇ‥‥ラストシーンだけ観れば恋人同士が新生活を始めてハッピーエンドっぽいんですけど(笑)

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  4. ��世界観を味わう映画
    なるほど!それですね♪
    何度もみました。すきな映画です。
    メトロファルスってバンドがこの映画の曲に歌詞をつけてカバーしてて、当時のお気に入りでしたね^^

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  5. このDVD、家にあったのに何故か一度も観てなかったので今日観てみました。
    うーん・・万人受けしない感じはありましたがこの世界観好き、です。
    テーマ曲が「ブラジル」なだけで全然ブラジルと関係ないところも何だか、良かったです。

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  6. 【しんばさんへ】
    ほほ~ぉ、しんばさんお好きだったんですか? なかなかカルトなご趣味をお持ちですね(笑)
    このタイトル曲はめちゃくちゃ印象的でしたね。陽気でスウィートな曲調と重々しい映像のギャップが素敵です♪
    【midunoさんへ】
    確かに万人にお薦めできる作品ではないですね。TSUTAYA DISCASのレヴューを読んでもボロクソに書かれてますし。ストーリーやメッセージに拘っちゃうと楽しめないでしょうね。

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  7. テリー・ギリアムって、絶対変態ですよね(いい意味で)。
    「フィッシャー・キング」や「12モンキーズ」も、良い作品だと思います。
    シュールな中にも人を見る視線の温かさみたいなものが感じられて、すごく好きな監督の一人です。
    Raul Midonといい、個人的にツボな記事が続いてますので、"Are You Fredie?"から目が離せませんw

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  8. 【kinyaさんへ】
    僕も「テリー・ギリアムは変態」だと思います(笑)
    「フィッシャー・キング」は残念ながら観た事がありませんが「12モンキーズ」は実に面白かったです。ツッコミどころ満載ではありましたが(^< ^)

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