大口でうたた寝

 僕の通っている歯医者の診察室は、南西に向いた壁一面がガラス張りになっている。そしてそこからは開放的な景色を見る事ができる。ピーカンの日はブラインドが閉じてあるので、外の景色は見えないが、ブラインド越しに外光が目一杯入って来る。歯医者が大嫌いな僕が、週に1度の通院をそれほど苦に感じないのは、きっとこの光の心地良さのおかげだろう。

 おまけに何度も通っているうちに、歯医者への恐怖心は見事に無くなり、大きく口を開けたまま居眠りを始める始末。この前、治療中に眠ってしまい自分でも驚いたが、今日もまたウトウト‥‥さすがにイビキはかかなかったと思うが、ヨダレは出てたかも知れない。ま、出てたとしても即座に機械で吸い取ってくれるけどね。

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 さてさて午後は昔の職場の同僚に会うため栄に出かけた。コーヒーを飲みながら「下には下がいるもんだねぇ」な~んて話で自分の境遇を相対的に持ち上げつつ、総じて不景気話を展開。僕らの貧乏自営業生活は、既に筋金入りレヴェルに達しているので、ちょっとやそっとの不幸話では酒のツマミにもなりゃしない。しかしまぁ、人生いろいろ‥‥ですな。

 店を出ると外は真っ暗。テレビ塔のてっぺんがミステリアスなオーラを放ちながら夜空に突き刺さっていた。

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