伝える力

 このブログにもよくコメントをくれる「ひの」ちゃんから、下のような質問をされました。本人に直接答えてもよかったんですが、同じような事で頭を悩ませている人のお役に立つかも知れないと思い、ブログ上でお答えする事にしました。(ひのちゃんから寄せられた文面は簡略化させてもらいました)

【質問】

 仕事で営業さん用のプレゼン資料を作る事がありますが、デザインの勉強をした事がないので、いつもセンスのない物になってしまいます。レイアウトやデザインをする時、どんな事に注意していますか? また、お薦めの本や、簡単な小技、アドバイスなどがあったら教えてください。

【回答】

 最も大切なのは「伝えようとしている内容」をデザイナー本人がちゃんと理解する事です。
 もしも内容が複雑なら項目ごとにグループ分けし、図式化してみましょう。AとBは関係が深いけどCは関係が薄い。なんて場合はAとBから離した場所にCを置きます。そうやって内容を整理しながら紙の上にマップを描く事で、何が重要で、何を強調すべきかが見えてきます。

 え? そんな事が知りたいわけじゃないって? チッチッチッチ‥‥問題は「全体像」と「強弱をつけるポイント」が把握できているかどうかなんです。マップさえできればデザインの半分は完成したも同然です。お薦めの本を1冊だけ挙げます。

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「ノンデザイナーズ・デザインブック」この本はタイトルどおり「デザイナーではない人のためのデザインブック」です。もともとアメリカで出版されたものです。ここには基本的な事しか書かれていません。文字の強弱の付け方。文字の並べ方、段落の組み方‥‥などがしつこいくらい繰り返し書かれていますが、内容は非常に単純です。企画書やDM、名刺などをデザインする時に押さえておかなければならないツボが1発でわかります。とにかく1度読んで欲しい本です。この本は人気があるらしく、続編やWeb編などが何冊も出されましたが、最初に出たこの本だけでオッケーです。プロのデザイナーの中にも、この本に書かれている単純な事ができていない人がいっぱいいます。「センス良く」とか「カッコ良く」を考える前に読んでみてください。基本を押さえたデザインは「伝える力」が違います。

追記:今回紹介した書籍はどうやら絶版になっているようで、Amazonではユーズドの取り扱いしかしていないようです。ユーズドでオッケーな方は上のリンクから購入する事ができますが「新品がいいっ!」という方のために、この本の【増補・改訂版】をあらためてご紹介します。内容はおそらくオリジナル・ヴァージョンとほぼ同じだと思われます。


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