紙入りボールペン

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 739ちゃんから彼女の勤めている会社がイベント用に作ったボールペンをもらった。ボディーには彼女作の気の利いたコピーが印刷してあるんだけど、問題はそのボディーの中に透けて見える紙切れの方だ。「日本銀行券裁断片入りボールペン」という説明文が同梱されていたので読んでみると、どうやら古くなった紙幣を切り刻んだ物らしい。僕は今までこういう状態のお札を見た事がなかったので「お金にこんな事しちゃっていいの?」と、ちょっとショックを受けた。
 しかしよくよく考えれば、なるほどこの紙自体が価値を持っているわけではない。それが1万円札だったとしても、その紙切れに1万円の価値があるわけじゃない。1万円札と千円札の違いはそこに印刷されているゼロの数が1個多いか少ないかだけではないか。
 頭ではわかってるつもりでも、切り刻まれたお札を目の前にするとやっぱり少し心がザワついてしまう。ボールペンの中に入っているこの紙切れも、かつては何人もの人の手を渡り歩きながら、僕には想像もできないような悲喜交々(ひきこもごも)を目撃して来たに違いない。

ただいま回転中のレコード
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SPIRIT / Earth Wind & Fire

 スリリングでキャッチーな「GETAWAY」で幕を開ける1976年発表のアース・ウインド&ファイヤーのアルバム「SPIRIT(魂)」。アースのアルバムの中でどれが1番好きか? と聞かれたら今の僕はこの「SPIRIT」と答えるだろう。アースが世界的に大ブレイクするのは、次のアルバム「ALL'N ALL(太陽神)」でだけど「ALL'N ALL」以降のアースはあまりに完璧過ぎて溜め息しか出ない。かたや「SPIRIT」以前はと言うと、実験的な部分や荒削りな部分があって、ま、それはそれで楽しめるのだが、音楽的な完成度と言う点ではやはり「途上」な印象が拭えない。そして「完璧」と「途上」がベストなバランスで光っているのが、この「SPIRIT」だ。プロデュースは「チャールズ・ステップニー」とアースのリーダー「モーリス・ホワイト」。しかし残念な事にこのアルバムの制作中にチャールズが急死。このアルバムはチャールズに捧げる鎮魂歌としての役割りを持つと同時に、アースの分岐点的な作品でもある。僕などは「チャールズがもう少し長く生きていてくれたら‥‥」と、ついつい思ってしまう。


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