匂いたつ 緑のなかを 我はゆく

 僕は岐阜の実家に帰る時「愛岐道路」という道を通る。読んで字のごとく愛知と岐阜を結ぶ道だ。山と山の間を縫うようにして走るとても景色のいい道路で、新緑の季節には緑のトンネルの中を気分よく走れるし、秋には紅葉がとてもきれいだ。道の脇には川が流れていて、冬にはたくさんの鴨たちが水面に浮かびドライバーの目を楽しませてくれる。春近くになると鴨のヒナたちの姿を見ることもできるので、たまにクルマを停めて鴨ウオッチングをする事もある。

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 今日その道を通った時には小雨が降っていて、木々の緑が一段と濃く匂っていた。このところの晴天続きの影響で枯れかかっていた植物たちもこの雨のおかげで少し息を吹き返したようだ。今日のような蒸し暑い日は普段なら文句タラタラになりがちだが、嬉しそうな緑を見ていると爽やかな気分になってくるから不思議だ。夜になって田んぼの脇を走っているとカエルの合唱が聞こえてくる。カーステレオのスイッチを切り窓を開けると、自然と顔がほころんでしまう。この季節もまんざら捨てたもんじゃないなと思う。
 季節の移り変わりや何気ない自然の表情を感じて物思いにふけるようになるとは、歳をとったものだ。そのうち「ここで一句」などと筆を取り出したりしそうだが、まぁそれはそれでいいかもしれないなと思う。

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