牛乳パック → おにぎり → 病院 → デザイン論

先日テレビで「牛乳パックってなんであんなに開けにくいのか」と訴えている人がいた。「ちなみに普段どうやって開けてます?」「こーやってこーやって‥‥んーっ! ほらイライラする」その人のちょっと信じられないような開け方を見て「そりゃそのやり方じゃなかなか開かんわな」と苦笑いした。そもそも牛乳パックには開け方が絵入りで説明してあるじゃないか。なぜその通りやらないのか‥‥

しかし、例えばコンビニで買ってきたサンドウィッチやおにぎりを年老いた両親に渡すと、目の前で同じ事が起こる。せっかく上手くご飯を包めるよう工夫されたおにぎりの海苔も無残な姿で引きちぎられ「ほら、ここに開け方が書いてあるでしょ?」とアドバイスしても「そんなの読みたくない」と一蹴される。どんなに丁寧な説明書きを載せても読まない人には伝わらないのだ。

そういえば、病院で右往左往する時にも似たような事を感じる。病院の職員がプリントアウトしたと思われる丁寧な説明書きが施設のアチコチに貼ってあるのに、僕は時々カオスを感じる。ちゃんと目に入ってるし読んでもいるのに書いてある内容が理解しづらいのだ。自分の読解力の低さもあるんだろうが、情報が多過ぎるうえに上手く整理されていないのがその主な理由だと思う。

「情報の整理」はデザインのキモだ。「伝わった方がいい事」と「伝えるべき事」を並列にせず、重要度に基づいてメリハリをつけ簡潔に。受け手の視線を導いてあげる工夫と、場合によっては情報を削る覚悟も必要。それから、言語に頼らないアプローチ(たとえばピクトグラムの活用など)は考慮すべきだが、雰囲気重視のイラストは極力使わない方がよい。

どんなに有益な情報も伝わらなければ意味がないし「そんなの読みたくない」と一蹴されては元も子もないからだ。

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