ラジオ解体新書

昨日ブログにアップしたラジオをめぐって、Facebook のコメント欄で面白い展開がありました。「そもそもこのラジオ、いつごろ作られた物なんでしょうね?」という話をする中で「チューニングメーターの周波数表記が、現在使われているものと異なりますね」という重要な手がかりが‥‥

なるほど確かに MW(中波)には「KC」、SW(短波)には「MC」という単位が使われています。現在のラジオには「Hz(ヘルツ)」が使われています。ではこの「KC」と「MC」は何なのかと言うと、「キロサイクル」「メガサイクル」の略だそうで、1972年7月1日に行なわれた「計量法」の改正以前に使われていた単位との事。

つまりこのラジオは、少なくとも1972年7月1日以前に作られた物だという事です。メーカーが NEC である事は前面のロゴでわかりますが、型番が不明ではそれ以上の事がわかりません。そこでおもむろに老眼鏡を取り出し、全体を舐めまわすようにチェックしたところ、背面に「MODEL NT-8P76 8 TRANSISTOR NEC JAPAN」の刻印が。

「NT-8P76」という型番である事が判明。で、それをキーワードにググったら‥‥こんなページこんなページがヒットしました。ほほ〜ぉ、1959年ですか。場合によっては1960年代の前半という可能性もあるようですが、どっちにしてもこのラジオは僕と同じく「アラ還」という事になりそうです。

乾電池を交換するためのフタは見当たりませんが、背面にコインで回すネジがあり「OPEN」と書かれています。おそらく「裏ぶた全体を開けて電池交換せよ」という事でしょう。恐る恐る開けてみました。

なんじゃこの白い筒は! インパクト大です。もしかして専用のバッテリー? いや、この筒の中に乾電池を入れるんだな。太さからすると単2電池です。3本使うようです。たかがトランジスターラジオに単2を3本も? 昔のラジオはそうとう燃費が悪かったんでしょうか。

さてさて、この筒の中に60年前の乾電池が入っていたらテンション MAX です。

で、出てきたのがこれ。残念ながら60年前のものではありませんでしたが、なんという大雑把な組み合わせ。種類もメーカーもバラバラです。前の持ち主はそういう事に無頓着な人だったんでしょうね。それよりこのスピーカー! プリントされているメーカー名にちょっとテンション上がりました。

なんと PIONEER ですよ。このロゴマークも馴染み深い。このスピーカーがどんな音を奏でてくれるのか俄然興味が湧きましたが、家にあった新品の乾電池を入れてスイッチを入れてみるも反応なし。残念ながら修理の必要がありそうです。

内部の部品をシゲシゲ観察すると「ACE ELEC. CO., LTD」や「TOKO RCL」などと刻印されたパーツが見受けられます。いくつもの国内メーカーが部品を提供して作られたラジオだったんですね。ちなみに裏蓋の内側にはこんなステッカーが貼られていました。

OUTPUT MAX 0.3W なのに単2電池を3本も? 僕は電気に全然詳しくないんですが、その頃の電化製品ってそんなもんだったんですかねぇ‥‥。というわけで、このカッチョいいラジオの出自も判明した事ですし、これからも(レトロなインテリアとして)大切にしていこう‥‥と思っとります。

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