身につまされつつも、最後まで楽しめたドキュメンタリー番組「Making The Cut 〜世界的なデザイナーを目指して〜」

Amazon Prime Video で「Making The Cut 〜世界的なデザイナーを目指して〜」というドキュメンタリーを観ました。この手の作品は「リアリティー・ショー」と呼ばれる事が多いようですが、僕はそういうのを観るのが好きじゃありません。参加者同士のドロドロとした人間関係を全然楽しめないからです。ただ、この「Making The Cut」は一般的なリアリティー・ショーとは違い、最後まで楽しめました。



既に自分のブランドを持つファッション・デザイナーたちが世界中から集められ、パリ、東京、ニューヨークと場所を変えつつ、毎回出されるハードな課題に挑みながら Make the Cut(勝ち抜き戦)を繰り広げ、勝ち残った者には「ワン・ミリオン・ダラーズ(約1億円)」が与えられる‥‥という番組です。

デザインを生業とする人間としては、身につまされる場面も多々ありましたが、もしこれがファッション・デザインではなく、グラフィック・デザインをテーマとした勝ち抜き戦だったら、これほど呑気に観られなかったかも知れません。この番組に限らず、海外のプロフェッショナルたちの現場を垣間見るたびに感じる事があります。どんな業種であれ、とにかく彼らに求められるのは「明快な主張」と「大風呂敷と言えるほどの自信」そしてそれをアピールするための「押しの強さ」と「シンプルな言葉」です。そして多くの場合「過程」より「結果」が重視され、多少「これは人としてどうかな?」という部分があったとしても、それをひっくり返せるほどの成果さえ出せば評価される事が多いようです。

そんな時つくづく「自分は日本人なんだな」と感じます。いや、国の問題なんかじゃなくて、単に自分が「甘ちゃん」なだけなのかも知れませんが、つい「自分だったらそんな勝ち方をしても嬉しくない」などと考えてしまうし、負けた人をスッパリ切り捨てる事もできず、むしろ敗者の側に自分の気持ちを重ねてしまいがちです。

ただ、今回観たこのドキュメンタリーに関しては、そこまでのバッサリ感はなく「なるほど」と感じる事も多かったので、自分と重ね合わせながら最後まで比較的冷静に楽しむ事ができました。つまりは良い作品を作るだけではダメで、その「生み出された作品」と「作品を生み出す能力」をいかにマネージメントしてビジネスに繋げるのか、勝ち残って手にした100万ドルが、勝者のビジネスに有益な効果をもたらす可能性があるのか‥‥までを含めたコンテストの在り方には新しさを感じました。
 

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