僕という人間が生きていた痕跡

かつてブログは日記だった。不特定の人の目に触れる場所に記す公開日記。他人の日記もよく読んだし、互いの日記にコメントを残し合うことも多かった。競い合うように毎日ネタを探し、それまでなら買わなかった物を買い、行かなかった場所に行き、言わなかったことを言い、見せなかった物を見せたりするようになった。

赤の他人が読むことを前提に公開されたブログを「日記と呼んでいいのか?」と問われれば、多少の不自然さを感じなくもないが、それでも僕は日記だと思う。動機や目的はともかく、それはその時その人にしか残すことのできなかった、その人の痕跡だから。


しかし、疲れたり飽きたり他のものに興味が移ったり、理由は様々だろうけれど、やがてみんな辞めていった。辞めていなかったとしても、以前のような頻度では更新されなくなった。ポッドキャスト然り。

かく言う僕も「なんでこんなことをせっせとやっているんだろう?」と思うことがある。誰に命ぜられたわけでもない。辞めたければ辞めればいい。けど、もし辞めてしまったら「僕という人間が生きていた痕跡」が、そこで途切れてしまうような気がして「辞めるわけにはいかない」という、それほど意味があるとも思えない使命感のようなものが湧き上がってくるのです。
 

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