THE SOUL OF A MAN(2003年/アメリカ)

 マーティン・スコセッシが製作し ヴィム・ヴェンダースが監督した音楽映画。タイトルには「SOUL」が使われているが「BLUES」が描かれている。つまり「人間のソウルを歌った歌 それがブルーズ」という意味だ。しかし 音楽ジャンルとしての「ソウル」も「ジャズ」も「ロックンロール」も ルーツを辿ればすべて「ブルーズ」に行き着くわけで やっぱりこのタイトルはちょっと紛らわしい。

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 ブラインド・ウイリー・ジョンスン スキップ・ジェイムス J.B.ルノアーという1910年代から60年代までに活動した3人のブルーズマンを軸に 当時の音源や映像と 彼らの曲を演奏する現代のミュージシャン達の映像 関係者へのインタヴューなどがいかにもヴィム・ヴェンダースらしい寓話的なタッチで繋がれている。

 ブルーズのルーツと言えばロバート・ジョンスンぐらいしか思い浮かばない僕にとってはとても興味深い内容だった。12小節単位の循環コードがシャッフルのリズムに乗って延々繰り返される という形骸化され尽くしたお決まりのブルーズなどではない もっと自由で世俗にまみれた不埒な音楽。怒り 歓び 悲しみ 孤独 性愛 閉塞感 嫉妬 欲望‥‥などを剥き出しにした本音の歌としてのブルーズを発見する事ができる。

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