色覚

 普段、商業デザインをやっていると「もっとキレイに」とか「もっとシズル感を」とか「もっと人の目を引くように」とか、そんな要求をされる事がほとんどで、色覚に障害を持つ人を意識する事はほとんどない。

 しかし、例えば交通標識、駅や空港や役所の案内板など、公共性の高いものや、ATMのタッチパネル、クルマ、パソコン、携帯機器、その他家電製品のユーザーインターフェイスなどは、見間違えたり見落としたりすれば命に関わる事態を招く事もあるわけで、見た目のキレイさより「伝えるべき情報を確実に伝える」事が優先されるべきだ。当然、色覚に障害を持つ人にも配慮されたデザインでなければならない。

pscap.jpg

 Photoshopというアプリケイションに、色覚異常・色覚障害を持つ人の色の見え方をシミュレイトする機能がある。この機能を使ってちょっと実験してみた。例えば正常な色覚の持ち主に見えているのが↓

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 これをP型(1型)色覚の人が見るとこうなり↓

1-p.jpg

 D型(2型)色覚の人が見るとこうなる↓

2-d.jpg

 では、こうした特性を持つ人がどのくらいいるかと言うと、日本人男性の22人に1人、女性では600人に1人なんだそうだ。男女によって物凄く差があるのが気になるが、とりあえずこの数字を「多い」と見るか「少ない」と見るか。僕は正直驚いた。日本人男性の「22人に1人」というのは思ったより遥かに高い数字だったからだ。

色覚異常(Wikipedia)

コメント

  1. 色覚異常は「伴性遺伝」です(Wikipediaに載ってます)。
    伴性遺伝というのは「性染色体」に乗ってくる、
    しかもたいていはX染色体に乗ってくるので、
    X染色体をひとつしか受け継がない男性に発現しやすいのです。
    女性であれば、Xは二本持っているので、
    一本が異常でも、もう一本が正常なら、それで補えてしまうので、発現しません(目に見える形質として)。
    また、Xは男の子には、
    母親からのみ遺伝するので、
    色覚異常ではない母親から色覚異常の息子が産まれるということが起こります。
    しかし、このX染色体は、その人の息子にはいかないので、その子は安全です。
    が、娘は必ず色覚異常のキャリアになります。
    あ、長くなってしまいました(汗)。

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  2. 作曲家の團伊玖磨さんの話を思い出しました。
    子供の頃花の絵を描く課題が出たのですが、赤い花を緑色に塗ってしまい「何てひねくれた子なんだ!」と先生に怒られた事でショックを受けたそうです。
    また色覚検査に引っ掛かって危うく音大に入り損ねるところだったとか。何で音大と色覚が関係あるの?と思ってしまいますが。
    現在では少しマシになったと思いますが、マイノリティな感覚が間違っているという風潮は未だ多いのでしょうね。

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  3. ぼくは一流デザイナーでもあるわけですが、
    右目と左目のカラーバランスが極端に違います。
    どっちの目が正しいのでしょう。

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  4. そういえば、ぼくの知り合いで
    紺色と緑と黒の区別がつかない色弱の人がいて
    その人もデザイナーだけどぼくの2倍くらい稼いでいますね。
    昔、師事した絵の先生も自分には色の違いが分からないと言いながら、
    地中海の日差しを受けたような鮮やかな風景画を描いてました。

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  5. 【むしはかせさんへ】
    さすが博士! わかりやすい解説ありがとうございます。
    色覚異常に限らず、遺伝性の特性は、狭く閉じた世界で交配が繰り返されると、その特性の出現率はどんどん高くなるんでしょうか。
    【midunoさんへ】
    男子の22人に1人という事は、どの学級にも1人はいる。という事ですもんね。そうなると全然マイノリティーではないと思うんですが、その割にはまだまだ認知度が低い気がしますね。
    しかし、色覚異常で音大に入れないという話は不可解ですね(笑)
    【シュガールーさんへ】
    アーティストであれば、自分の特性が個性へと繋がる事もあるだろうけど、デザイナーの場合は難しいんじゃないか。と思ってましたが、なるほど何事も成せば成るんですね。
    しかし右と左の見え方が違うというのは、両目で見た時の像が僕にはちょっと想像しにくいんですが、使いようによっては、もしかしたら武器になるかもしれませんね。

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  6. あ、肝心なことを書くのを忘れていました。
    もちろん女性の色覚異常もあるわけで、
    それは両方のXに色覚異常の遺伝子が乗ってくる場合です。
    もちろんその確立は想像の通り、
    男性よりもはるかに低くなるわけです。
    ��男性が色覚異常で、女性がキャリアの場合は1/4、女性も色覚異常の場合は100%ですが、それ自体少ない。対して、男性は母親がキャリアの場合1/2、母親が色覚異常の場合100%色覚異常になります、父親がどうであろうと関係なく。)
    近親交配が危険なのは、女性での色覚異常のような、劣勢遺伝(ふたつの遺伝子がないと発現しない)の病気などが発現する確立が高くなるからです。(常にその遺伝子が、家系内で受け継がれる可能性が高いーいちど家系に入ると出て行きにくいーので。)
    ・・・・・・・
    続きはウェブで(どこの?)

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  7. はーい
    1/22 な人です。
    時々困りますが、まあなんとかやってます

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  8. 【むしはかせさんへ】
    なるほどねぇ‥‥僕はあくまでも中途半端にではありますが「遺伝」というものに興味があるんです。生物学的な意味で、というより、どちらかというと統計学的というか環境学的というか‥‥何学的と呼べばいいのかわかりませんが、なんとなくそんな意味で(笑)
    【mikoさんへ】
    あらま、そうだったんですか。
    mikoさんがお撮りになる写真の
    特に色の力強さは、もしかしたらそこから来てるのかもしれないですね。

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  9. 確かにそうかも、原色好きだし。
    好きというか、アレか...そこに落ち着くのかw
    コッテリ系は iPhoto の自動調整にも責任が...選ぶのは僕だけど。

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  10. おぉ!結構多いんですね。
    色合いとは関係ないかも知れませんが
    midunoさんのコメントを読んでいて思い出した事が・・・
    小学校1年の時に皆は太陽を赤く書いていたのが不思議で
    私は白とか黄色で書いたら
    当時の先生に笑われた事が有りました。
    子供心に(じゃお前は、あの昼間の太陽が真っ赤に見えるのかよ!)と思った記憶が有ります。
    そう言えば私は、形とかも実は自分の見ている形は
    他の人が見ている物と違うんじゃないだろか?と疑問に思い始めてしまい
    気が狂いそうに成った事も有りましたなぁ・・(笑)
    うっなんかくだらない事書いてしまった・・・(^^;へへへ

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  11. 【mikoさんへ】
    まず、何かを見て「あ、これ撮りたい」と思うか思わないか、という所からすべては始まって、撮った写真をアップするかしないか、どれをどこで公開するか、の選別作業でさらに「mikoさんらしさ」が絞り込まれて行くんでしょうね。
    【鶴丸さんへ】
    実に鶴丸さんらしいコメントありがとうございます(笑)
    僕も「絶対に同じではないはず」と思っています。
    目に見えるものだけでなく、音も匂いも味も‥‥
    人によって絶対違うはずだ‥‥と。
    でもあれです「太陽は赤」という大人の身勝手な固定観念に悩まされた経験は、きっと誰もが持ってると思いますよ。太陽が本当に赤かったら、それって「超天変地異」ですもんね(笑)
    太陽を赤く描くのは、子供なりの処世術なんだと思いますね。

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  12. > 鶴丸 さん(はじめまして)
    僕は、自分が目をつぶっているときの世界がどうなっているのか、気になって気になってしょうがないときがありました。
    今は、あまり考えないようにしています。

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  13. ��太陽を赤く描くのは、子供なりの処世術なんだと・・・
    うっ・・・そうか!
    皆、既に大人だったのね・・・orz
    ��笑)
    でも私だけでなく、ひげさんも全部見え方や感じ方が違うと思っている人がいてちと安心しました。
    mikoさんはじめましてです♪
    目をつぶっている時の世界ですか・・・
    目を開けている時と
    まったく違った世界だと思うだけで、
    自分の立っている地面が無くなる様な
    目眩ににた感覚に成りそです・・・

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  14. ぼくも幼稚園のときに、いつもリアルに色を塗っていて、
    でもうまくいかなくて、煮詰まっていました。
    ある日母親と一緒に幼稚園に行くことになって喜んでいたら、
    母親や先生たちにうさぎは白いのよシュガル君、こんな汚い色じゃないでしょ!って
    大人たちの苛立ちや困惑した顔やボイスが今でも鮮明にリフレインします。

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  15. そう!ウサギは漂白した様に白いのは
    夜店に出ているウサギだけっす!
    本当のうさぎは、薄汚れているのさ!
    シュガールーさんに乾杯!

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  16. 乾杯されるとちょっと照れますが...
    そんときの絵のモチーフはたしかに白ウサギだったけど
    汚れや白の調子を夢中になって描いてたら
    ちょっとバイオレンスなうさぎになっていて
    それでも子供心に感じていた達成感を
    ズタズタにされて泣いたのを覚えています

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  17. 人は「現実を記号化する」事によって知能を身に付け「大人」と呼ばれるものになって行くものなのかも知れませんね。
    そして記号化の過程で、はみ出た部分は、子供にとっては「物の本質」だったりしますが、大人はそれを「異物」「例外」として捉えるメリットを優先させ「なきもの」として考える術を、知らず知らずのうちに身に付けちゃってるのかも知れませんね。
    ま、子供には子供なりの葛藤があり、大人は大人で、自分の中に残留している「子供成分」と、なんとか折り合いをつけながら生きているんじゃないでしょうか。

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