Aja / STEELY DAN


 「Aja(エイジャ)」と言えば、1977年に発表されたスティーリー・ダンの傑作であり、今でも人気の高いアルバムだ。僕がスティーリー・ダンというバンドと出会ったのは、彼らがバラバラに活動を始めた後だった。「バンド」と書いたが、彼らの場合それは正しい表現とは言えない。もともとはバンドの体を成していたが、この「Aja」が作られた頃にはヴォーカル、キーボードのドナルド・フェイゲンと、ギターのウォルター・ベッカーの2人組になっていたからだ。実際はそこにプロデューサーのゲイリー・カッツとエンジニアのロジャー・ニコルズが加わって初めてこのサウンドが完成するわけで、そう言う意味では「ユニット」と呼んだ方がシックリ来るかも知れない。
 いささか怪しいウンチクを並べてしまったが、実は僕が持っているスティーリー・ダンのアルバムはこれ1枚。そのかわり何度も聴いてるし、何度聴いても飽きない。


 で、このDVDを観た。これが作られた1999年当時のドナルドとウォルターが、ミキシング・コンソールの前に座って、Ajaのマスターテープをプレイバックしながら「あの頃はあーだった」「このテイクはこーして録った」って話をする。ラリー・カールトン、チャック・レイニー、マイケル・マクドナルド、ウェイン・ショーターら、アルバムに参加した伝説的なミュージシャンたちも登場し、レコーディング時の様子などを語る。

 ま、言ってみりゃスティーリー・ダンやこのアルバム、あの当時の音楽に興味の無い人にとっては退屈極まりないであろうマニアックな内容なんだけどね。でも、ちょっとでもその辺に興味のある人、あるいは真剣に音楽と向き合おうとしているミュージシャンにとっては正座して観たくなるDVDじゃないかと‥‥(笑)

 まず第一印象。ドナルド・フェイゲンは立川談志に似てて、ウォルター・ベッカーは宮崎 駿に似てる。ルックスだけじゃない。とてつもなくラジカルで偏屈でマニアックで天才なところもソックリ。でありながら常にポピュラリティーを意識し、実際にポップ・フィールドでの人気を獲得している。考えてみると、ビートルズやトッド・ラングレンや山下達郎だって、みーんな相当の偏屈者だと思うよ。なのに彼らの作品はポップスとして成立してる。不思議じゃない? このDVDを観るとその謎が少し解ける。

 究極を目指し、そこに到達して終わりではなく、そこから更にそれを体に馴染ませて「自然」の域にまで持って行く努力と時間を惜しまないからこそ、それはポップとして成立するし、何度聴いても飽きない作品になるんだ。と。目からウロコだよ。



コメント

  1. そう!全くもってそのとーりだと思います。
    アルチザン=職人が職人として極めれば、それが自然となって多くの人びとの身体に馴染む。まさに「自然」。
    昔の職人はそれでも次の職人を作ってきた。
    今もっとも社会的に影響力のある組織が、その中に職人を抱えてはいるけれど、その技が今のシステムでは紡ぎきれていないように感じています。
    かの職人を継ぐものを輩出できない、今のシステムはやはりどこかに欠陥があるのだと思います。

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  2. おぉこのDVDはぜひ観たいですね。と言うことで早速Amazonでポチってしまいました。
    Ajaは現在でもエンジニアがモニタースピーカーのチェックをする時に使われたりするようです。
    アナログテープってそれだけの情報が詰まっているってことなんですよね。

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  3. 【palm介さんへ】
    今は、お互いを尊敬し尊重し合う形での「分業」が機能しにくい時代ですもんね。だから「匠」が必要とされず、「良い物」の「良さ」を味わう時間も与えられず「それは古くなったから新しいのを買いなさい」って言われちゃうんですよね。
    でも僕はあまり悲観してないんです。
    大量消費したくともできない時代に突入すれば、きっと職人や匠が必要とされるようになるはずです。
    ま、そのころ僕はもうこの世にいないでしょうけど(笑)
    【midunoさんへ】
    あらららら、買っちゃったんですか?
    インタヴューばかりで音楽シーンはほとんど無いですけど、いいですか?
    って、ポチった後でこんなこと言っても遅いですけど(笑)
    思い込みと偏見だらけの僕の印象としては、70年代後半の時期に演奏、録音、マスタリングなどが一旦ピークに達し、その後デジタル機器の導入と共に輝きを失って行った。そんな気がしています。
    そう言う意味でもmidunoさんには頑張っていただきたい!
    期待してます♪

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