BEING THERE(チャンス)

 かなり以前、コウサカさんに薦められた「チャンス」を観た。僕の大好きなピーター・セラーズの遺作となった作品だ。

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 なんとも不思議な余韻を残す作品だった。どことなく「フォレスト・ガンプ」に通ずる物も感じたが、ちょっと違う。ピーター・セラーズならではの「笑い」が所々にちりばめられてはいるが「喜劇」と言い切る事はできない。自分にとっての「実」が、まわりにとっての「虚」で、自分にとっての「虚」が、まわりにとっては「実」であったなら‥‥それは「喜劇」であると同時に「悲劇」だ。

 庭師のチャンスさんとチャンシー・ガーディナー氏は同一人物でありながら、決して1つに重なる事がなかった。せめてもの救いは、彼自身が最後までそのギャップに気づかなかった事。‥‥いや、もしかしたら気づいていたのかな? そう考えると切なさ100倍だな。

 ピーター・セラーズという役者が生前好んで演じてきた役柄を考えると、彼とこの映画の主人公チャンスの姿は、違和感なくピッタリ重なる気がする。これは彼自身だったのか‥‥こんな作品を最後に世を去ったピーター。カッコいいと思う。




コメント

  1. 【へるまんさんへ】
    地味な作品ですが、ジワ~っとボディーブローな映画ですよ。

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  2. 私これを見たのは確か10年以上前に日曜の夜、TVの深夜放送の映画劇場で観ました。
    確かに、なんとも切ない気持と不思議な余韻があったのを覚えています。
    早く寝なくてはと思いながら、事の顛末に興味津津で、最後まで観てしまって翌日は辛かったです^^;
    身分や家柄などでしか人間の価値を見出せないかわいそうな人たちをシュールにユーモラスに皮肉ったスタイルが面白かったです。
    私も是非お薦めします。

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  3. 【Kimさんへ】
    おっ、Kimさんもご覧になった事があるんですか。これ、映画の舞台がワシントンDCで「セレブと庶民」という対比の他に「黒人と白人の格差」もテーマの1つになってたりするんですよね。

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