「日本沈没」と「日本以外全部沈没」

 こりゃまたすごい2本立てだな。もちろん狙って選んだ2本なんだけどね。僕の世代は子供の頃に必ず通ってきてるんだよ。「日本沈没」を。映画では藤岡 弘、テレビシリーズでは村野武範が主演でさ。

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 で、そのリメイク、というか21世紀版が今回観た草彅 剛主演の「日本沈没」。「ツッコミどころ」的な話を始めると、この手の作品には、まぁ多かれ少なかれ「ある種の無理」は付き物だから、この際何も言いますまい。ただ、こうした「非常事態・異常事態」を題材に作品を作る場合、描くべき事は「何が起きているのか」と「それに直面した人々が何を思い、どう動いたか」の2点に絞られるのではないか‥‥と、でもそのどちらもが「ちょっと弱い」気がしたんだよねぇ。

 しかし、やっぱりこの題材自体が物凄く魅力的であり「恐ろしい」と思いながらも、反面ワクワクしてしまう設定である事には間違いないんですな。自分の生まれ育った国が、この世から姿を消す‥‥って、いったいどんな事なのか‥‥故郷と運命を共にする決意をした人達は、どんな気持ちで死んでいき、命からがら海外に逃げ出した人達はその後、何を心の拠り所として生きていくのか‥‥

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 さて、2本目は「日本以外全部沈没」。タイトルを見ただけで「日本沈没」のパロディーである事はすぐにわかるし、原作が筒井康隆と来れば、内容はおおかた察しがつくんだけど‥‥いやぁ、よくぞこれを映画化したもんだ。諸外国の方々が髪の毛を逆立てて噛み付いてくること必至の内容だよ。でもね‥‥ハッキリ言うと「日本沈没」以上にリアリティーがあるんですな。とりあえずナンセンスの皮を被ってはいるけれど「あぁ、もしこういう状況に陥ったら、きっとこうなるんだろうな」‥‥と、妙に身につまされるシリアスな内容なのね。ただね、映画としての作りは粗いよ。そこだけは覚悟してね。

 あ、そうそう。この作品には藤岡弘、と村野武範が出てるんだよね。白状しちゃうと、僕なんかもうその時点で「まいりました」だったんだ(笑)





コメント

  1. 『日本沈没』は、むかし聞いた事があるけど、観れば生きているのが空しくなるだろうと止めた、筒井さんの脚本『日本以外全部沈没』なら安心して楽しむ事が出来そうですね(笑)
    グローバル化した世界の金融や経済では両方が沈みつつあるのが現状で、同時に観るのが良いのかも!(汗)

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  2. 【明さんへ】
    いや、これはあくまでも僕の印象ですが
    どちらかと言うと「日本沈没」は、今「空しさを感じてる人」にお薦めしたい気がします。
    で、逆に「…以外全部…」の方は、観た後ちょっとやるせない気分になります。
    観る人によって感じ方は違うと思いますが‥‥。

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  3. どちらも未見なんですが「日本以外全部沈没」って、痛快ですか?それともブラックジョーク的なんでしょうか。

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  4. 【ArigAさんへ】
    痛快‥‥とは‥‥言えない‥‥かな?
    ブラック‥‥と言えば‥‥言える‥‥かな?
    う~ん「シニカル」という言葉が1番シックリ来るような気がします。

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  5. あ~、筒井さんの皮肉っぽい所だけ出ちゃったのですね。

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  6. 【ArigAさんへ】
    映画としてのタッチは「B級おバカ路線」なので、何も考えずに笑い飛ばすのが正攻法なんでしょうが‥‥(苦笑)

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