Sweet Sweetback's Baadasssss Song

 いやぁ、この映画のレヴューは書きにくいぞ。うーん。とりあえず僕がこの作品を観たいと思ったのは、Earth Wind & Fire(以後:アース)が音楽を担当しているからだった。映画が作られた1971年と言えば、まだアースの知名度は低く、言わば下積みの時期だ。ヒットを飛ばすようになる前の彼らの音楽はロックとジャズを融合させたような実験的でメッセージ性の強い、いわばラヴ&ピースな雰囲気プンプンの、ま、当時としては普通のバンドだった。おまけに映画の中にモーリスの歌が流れるわけでもなく、たとえ僕のようなアースのファンであっても、何も知らずに観たらアースが音楽を担当している事に気づかなかったかも知れない。少なくともカリンバの音が流れるシーンまではね。あ、いけない。今回はアースではなく映画が主役だった。

sweet02.jpg そーねー。一口に言えばこれは「黒人」の映画だ。うーん。なんて書けばいいのかなぁ‥‥つまり、ホントに説明しづらい作品なのよ。理解や説明を拒絶してるかのような作品なんだな。いくらストーリーを辿ってもそこには意味がないんだな。そんな上辺の分析をさせまいさせまいとして来るんだね。「独特の文法」と言うべきなのか‥‥いや、それ以前に自由奔放なのか実験なのか、単に未熟なだけなのかの判断さえつきかねるの。映像も音楽もビックリするくらい脈絡のない繋ぎ方がされてるし、プロっぽく撮れてるシーンと映画同好会レベルのシーンがグチャッと混ぜこぜになっている。じゃあ、観るに堪えない作品かと言うと、全然そんな事はなくって、すごく楽しめたし、心底カッコいい映画だと思った。

sweet01.jpg ただ、万人にお勧めできる映画ではない。ある程度の予備知識は必要だろうと思う。奴隷、差別、公民権運動、アメリカに住む黒人が1971年頃どんな空気を吸っていたかについての予備知識がね。僕はこの映画が公開された数年後あたりの時期から黒人音楽にイカれてるから、一般的な日本人より少しだけ身近に「黒い文化」を感じながら育ってきていると思う。背景にある物を知ってるか知らないかで解釈が180°向きを変える事もある。例えばこの映画にはセックス・シーンがやたらたくさん出てくる。この「黒人とセックス」の関係についても、僕は奴隷時代(あるいはアフリカ時代)にまで遡らなければ本当の姿が見えてこないと思っている。古くから黒人音楽にはセックスを歌った曲が多くある。21世紀の今でも恐らくセックスをテーマにしたりイメージさせる曲の作者は白人より黒人の方が圧倒的に多いはずだ。

 あ、気づいたら熱く語ってた(笑)

Sweet Sweetback's Baadasssss Song


コメント

  1. 嬉しい^^ やっとポストできる話題です^^
    私、この映画とっても面白かったです^^
    最初は??なんだ~って思いましたけどね(笑)
    マービンの息子さんがオープニングの子供の頃の主人公なんですよ^^ そして、息子さんがメガホンをとった映画「BAADASSSSS!」はSweet Sweetback's Baadasssss Songが世に出るまでのエピソードを映画化したお話で、EWF役の俳優さんも出演してるのですが、Mauriceには似てもにつかない男優さんでした(笑)エンディングにはMaurice、Verdineが当時の苦労話を笑いながら語っています^^
    おまけ^^ 「Earth, Wind & Fire」のアルバムの中の'Moment Of Truth'という曲のボーカルを無くすと。。。ね^^テーマソングになったでしょ♪

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  2. 【Kimさんへ】
    さすがKimさん! ちゃんとチェック済みなんですね。しかも「BAADASSSSS!」の方まで。
    僕も次はぜひ息子さんの方の作品を観てみたいです。
    ところでKimさんは「Sweet Sweetback's Baadasssss Song」をDVDでご覧になったんですか? ボーナス・トラックにメルヴィン監督へのインタビューが入ってて、音楽についても少しだけ語ってました。当時、監督の秘書がアースのメンバーと付き合ってた事がアースに音楽を依頼したキッカケだったと。
    あと、メルヴィンと息子のマリオ、そしてその子供たちがプロモーションのために来日した時のドキュメント映像も少し入っていました。
    あ、そうそう。「Moment Of Truth」は要チェックですね♪

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  3. 私は「Sweet Sweetback's Baadasssss Song」、「BAADASSSSS!」の両方ともDVDで観たんですよ^^ 
    メルヴィンのインタビュー見ましたよ^^;
    何ともすごい目力のある人でしたねえ。。。
    この映画は当時のアメリカにおける(アメリカだけの問題ではなくて、全世界ですね。)白人社会と黒人社会での問題をそのまま反映している作品だと思いますね。観ている側にはストレートにそれが伝わってきます。主人公が逃走するシーンで流れるテーマソングは(後のMoment Of Truth)、まさにピッタリ!私も観ながらものすごく応援してしまいました(笑)
    是非是非、「BAADASSSSS!」観てくださいね♪

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  4. 【Kimさんへ】
    作品だけでなくメルヴィンさんのキャラクターも含めて、僕はすっごく「パンク」な印象を受けましたね。
    「BAADASSSSS!」観たいんですけど、TSUTAYA DISCASに無いんですよねぇ‥‥仕入れてくれるよう、リクエストは送っておいたんですがね。

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