日本を舞台にしたアメリカ映画としては、色眼鏡の色が薄い部類に入ると思う。けど映画としての味わいも薄かった。良く言えば「抑えた表現」「抑えた演技」という事か。言葉少なく感情をあらわにせず、終始滅入っている主人公たち。逆に脇役の日本人たちは不自然なまでに個性的。かつての「ハリウッド型ステレオ・タイプ」からの脱却を試みようとしている気もするが、別の場所に新たなステレオを生んでしまったようだ。
この作品は、人間関係における“Lost in Translation”と、異なる文化間に生じる“Lost in Translation”を重ねた構造になっている。そこに監督と作品の間に生じた“Lost in Translation”が加わって、中心軸の存在しない三重螺旋を形成している。
テンプル、シュライン、スシ、シャブシャブ、ゲームセンター、パチンコ、カリオケ、フジヤマ、トキヨ、キヨト‥‥そんな「お決まりのジャパン」に振り回される事なく、もう少し丁寧に「人」を描いてほしかった。
エンドロールの後半で「はっぴいえんど」の「風をあつめて」が流れる。そして曲のエンディングを待たずエンドロールは終わり、曲も唐突にフェイドアウト。最後の最期で「おっ!」と思わせ、そしてガッカリさせられた。
■Lost in Translation
何年か前にオスカーにノミネートされたが惜しくも大賞を逃がした作品でした。
返信削除始まりは又かと「お決まりのジャパン」で笑い者にして来たアメリカ優越映画なのかと思った...
舞台はたまたま日本でしたが、他国の文化を踏み荒らしてはコケにして来たアメリカが、もう変わらなければと言うメッセージを含み、静かなユニークさで根本的な相違の理解努力をして行く姿の作品でしょう。迷うアメリカ人が本国アメリカへ向けて作られた画期的な物かもしれない。
日本の民族性や思考を十分に理解してるのは『Babel』の監督さんでしょうね。
【明さんへ】
返信削除この作品、アカデミーでは作品賞は逃しましたが、脚本賞はとってるようですね。アメリカでの評価は思ったより高いですね。
そう。僕が知りたかったのは「アメリカ人がこの作品をどう受け止めたか」だったんです。僕は物足りなさを感じたんですが、アメリカ人にとっては「何らかのインパクトを持っていた」という事だったんでしょうね。
「BABEL」観てみます!
僕、これ、映画館で見たんですが、途中から恋愛ドラマだと思ってみたら、面白かったです。
返信削除アメリカで公開されたときには、日本語には一切字幕がつかなかったそうです。
日本語が分からない方が見ると、言葉の分からない国に居る時に感じる「孤独感」を感じられるかもしれませんね。
そんな切ない時だからこそ、人を恋しくなったりするでしょうし。
何を言ってるか分からなくて、つまらないかもしれませんけどね。
【くまさんへ】
返信削除あ、くまさんもご覧になったんですか? しかも映画館で?
なるほど「日本語のセリフに字幕をつけない」ってのは正しいやり方ですね。そっかー、日本語が判る人と判らない人とでは全く違った印象になるでしょうね。その話を聞いて少し腑に堕ちた気がします。