九龍城砦の内部

 最近話題の「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」。僕も随分前からお誘いを受けていたのだが、いったいどんなものなのか得体がつかめなかったので、しばらく静観していた。しかし「中を見るためには加入してください」そして「すでに入っている人から招待されないかぎり中には入れません」というのがこのサービスの特徴なので、何百年静観していたところで得体はつかめないままなのである。僕がよく出入りしているあるサイトでは、何人かの仲のいい友人ができたのだが、最近そのサイトを訪れるたびに「いつ来ても閑古鳥だなぁ」と思っていたら、どうやら皆こぞって「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」の方に移動して、そちらで盛り上がっているらしい事がわかった。「こりゃイカン! 遅れをとった!」というわけで、僕もついに招待に応え加入してみたのである。

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 入ってみたはいいが、まるで「九龍城砦」に迷い込んだようで、自分が今どこにいるのかさえわからない。だが、しばらく彷徨(さまよ)っているうちになんとなく全体像がつかめてきた。要するに「友達の友達はみな友達」という考えの元に、人と人が日々刻々ネットワークを作り続けている場所なのだ。そこには日記のコーナーがあり、音楽や映画、本などにレビューを書くコーナーがあり、コミュニティーという同好会のようなものがある。少し様子がわかってきた僕はさっそく音楽関係の三つのコミュニティーに参加することにした。コミュニティーにはメンバー数1人の小規模のものから、「Macユーザー」コミュニティーのように3千人以上のメンバーが加入しているものまであり、大小あわせて3万を越す同好会がひしめき合っている。

 「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」というのは、気の合った者たちだけで村を作るという狙いから始まったものではないかと想像するが、ここまで大規模になってしまうと、村ではなく都市に向かって突っ走るしかなくなっているような印象を持った。この先、この場所がどんなふうに秩序を保ち、和気あいあいとした雰囲気を維持していけるのか‥‥最終的には「九龍城砦」のようになってしまうのではないか‥‥

 今度は内部からじっくり観察してみようと思う。

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